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「大丈夫だから、ね?」
いつもよりも穏やかな顔で言われ、春馬は落ち着きを取り戻す。
……なんか友樹に宥められるの癪なんだけど。
「あのあと……僕も春馬も空き教室に連れ込まれちゃって……」
「ぜんぜん大丈夫じゃないじゃん!? ホントにケガとか――」
「いきなり電話が来て……舌打ちしながら出てったんだ……」
よく見ると優のブレザーのボタンがほとんど見当たらない。ひきちぎられたんだと春馬は悟った。
あまりにも非現実的な出来事を嘲笑うかのような、現実を物語るボタンの有り様に背筋が凍る。電話が来たといっていたが、来ていなかったら――そう思い、軽く泣きそうになった。
「あ、そうだ。優くん、ベッドの上――春馬の近くに座ってくんない?」
言われて優が移動する。ポスッと音がした。
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