2424人が本棚に入れています
本棚に追加
思わず後ずさった幸の後頭部に、まったく無駄のない動きで手を回す。
「これは、お近づきの挨拶です――」
と、静香の端正な顔が急接近した。
――あ。
言葉を口にする間もなく、口と口が重なった。
……あああああっ!!
もがいても顔は離れてくれず、幸の頭を押さえる手の力が強まるばかり。
――このぉっ!
気付けば思いっきり拳を振るっていた。気付けばその拳は静香の顔を殴っていた。
「……あ」
「イタタ……いや、ごちそうさまでした」
頬を擦りながら訳の分からないことを言う静香に苛立ち、突然の出来事に衝撃を受けたのだった。
……ファースト、キス。
「それでは、行きましょうか」
それもこれもあるかと叫びたかったが、もういいやと諦め、静香に着いていった。
最初のコメントを投稿しよう!