2423人が本棚に入れています
本棚に追加
/289ページ
《幸サイド》
波乱の自己紹介があったホームルームを終え、幸は校舎内を見て回っていた。
「ありがとな恭夜」
「あ? なに言ってんだ。気にすんじゃねえよ、こんくらい」
クラスの席順でいうと、幸の後ろは恭夜だった。正直とてつもなく安心した幸である。
あのあとクラスに入り自己紹介をしたのだが、そこかしこで囁かれる陰口に心底イラだった幸は思わず、
「お前らなんか、友達にいらない!」
と叫んでしまったのだ。
すぐに後悔したが時すでに遅し。陰口に拍車がかかったのは雰囲気で分かった。
あーもう、失敗したぁ……。
陰口を叩くなら自分の知らないところで叩いてほしい。本気でそう思った。
「暗い顔してるじゃんか。疲れた?」
とてつもなく爽やかな笑顔で、優しい言葉と共に肩を叩かれる。隣の席にいた、西条蛍斗(さいじょうけいと)である。
最初のコメントを投稿しよう!