2424人が本棚に入れています
本棚に追加
静香に着いて歩きながら、幸は改めてこの学園の規模の凄まじさに感じ入っていた。
手入れの行き届いた花壇、刈り込みのされた植木――噴水には落ち葉ひとつ浮かんでおらず日の光の輝きを映していた。
「珍しそうですね」
先を歩いていた静香が振り返る。
反射的に幸は身構えた。再びキスなんかされたらたまらない。
「大丈夫ですよ。さっきのは挨拶ですってば」
信じられるわけがない。
いつ何をされても対応できる体勢で、小さくうなずく。
「外部生はみんな同じような反応をするんですよ」
あと少しで校舎ですから、そう言ってまた歩き出す。
挨拶だと流されたが、もしもこの学園の生徒全てが同じ考えを持っていたらと思うと……。
首を振って、その考えを打ち消した。
ダメだ、考えない考えない。
最初のコメントを投稿しよう!