始まり

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静香に着いて歩きながら、幸は改めてこの学園の規模の凄まじさに感じ入っていた。 手入れの行き届いた花壇、刈り込みのされた植木――噴水には落ち葉ひとつ浮かんでおらず日の光の輝きを映していた。 「珍しそうですね」 先を歩いていた静香が振り返る。 反射的に幸は身構えた。再びキスなんかされたらたまらない。 「大丈夫ですよ。さっきのは挨拶ですってば」 信じられるわけがない。 いつ何をされても対応できる体勢で、小さくうなずく。 「外部生はみんな同じような反応をするんですよ」 あと少しで校舎ですから、そう言ってまた歩き出す。 挨拶だと流されたが、もしもこの学園の生徒全てが同じ考えを持っていたらと思うと……。 首を振って、その考えを打ち消した。 ダメだ、考えない考えない。
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