『そ』

20/59
2341人が本棚に入れています
本棚に追加
/289ページ
「テメエ、恐くねえのか?」 「へ?」 「だから、恐くねえのか? ビビるだろ普通」 「……ビビって欲しい?」 自分よりかなり上にある、名前も分からない不良の顔を見上げた。 「同室なんだし、ビビっても仕方ないと思うんだけど」 「…………」 何も言わずに手を握られた。不良は目を細めている。 「俺の名前は西原恭夜(にしはらきょうや)だ」 「俺は藤野幸。よろしく」 何故この時間に寮にいるのか、編入生が来ることを聞いていなかったのか――聞きたいことは多々あるが、そう悪い人じゃなさそうで幸は嬉しかった。 「あ、荷ほどきしなくちゃ」 「……手伝おうか?」 「ありがとう恭夜」 ニッコリ笑った幸の顔を見て、恭夜が一瞬固まったことなど幸は気付かなかった。
/289ページ

最初のコメントを投稿しよう!