作戦開始

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 銃身下部に取り付けたフォアグリップを握る手の平が汗ばむ。ストックを肩付けしたそこから、ライフルの重みがひしひしと伝わってくる。ここに入ってから数分経過したのではないだろうか。息も少し荒れてきている。同じような動作を続けていたせいかその間の記憶も曖昧になってきている。  今日はあまり風がない。こうやってずっと動き続けているから、必ずそうだろうという自信はない。だが体に溜まった熱はあまり効率よく放出できないのが辛い。慣れたことなのだが、何故か今日はそれを意識してしまう。  右の視界に、森の切れ目が見え始めた。緑黄の雑草に囲まれた耕地が広がっているが、何かが植えられているようには見えない。だが機械などで耕された感じはする。 その向こうに見える一軒の民家。周辺に小屋が隣接し、近くに一台の白いバンが停まっていた。こちらから見える家の前には一人の男が立っていた。そしてついさっきの4-3と大尉のやりとりを思い出す。 「もうすぐ合流地点だ。撃つなよ」
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