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真新しい制服に身を包み、校門をくぐった。
長崎県立北五島高等学校の入学式が開かれようとしていた。
犬岡、松木、大賀が生まれ育った平良島には、高校がない。
また、近くには尾ノ島(オノシマ)、副島(ソエジマ)という、平良島と同程度の小さな島があり、この2島にも当然、高校は存在しなかった。
よってこの島の子ども達が高校進学するためには、島を出て、親元を離れて生活しなければならないのだ。
成績の優秀な子どもは本土の高校を受験することもある。
しかし、ほとんどは平良島から漁船に乗って15分ほど海を渡ったところ、五島列島の北端に位置するこの北五島高校を受験するのだ。
したがって北五島高校の生徒達は、すぐ近くにある北五島中学校に、3人のいた平良島小中学校、尾ノ島小中学校、副島中学校を加えた4つの学校の出身者でなっている。
4つの学校から生徒が集まるといっても、今年度の入学者は平良島小中学校から3人、尾ノ島小中学校から5人、副島中学校から10人。
6クラスある中で、たったの18人を除いた他の生徒はすべて北五島中学校出身者なのだ。
受験者数が募集人数よりも少ないため、入試はほぼ全員合格。
北五島中学校出身者にとっては、義務教育の延長、今年はちょっと転入生が多いな、程度にしか感じないのである。
想像できるだろうか。
40人学級で、37人はお互いに知り合い同士。
しかし自分は残りの3人の方、その心細さが―――。
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