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「ねえ、ミゾヤくん…だっけ?」
下校時間になり、大賀は気になっていた男に声をかけた。
「あ、うん…えっと、君は…?」
「同じクラスの大賀健二っていうんだ。よろしくね。」
「あ…僕は溝夜巧(ミゾヤ タクミ)。よろしく。」
「溝夜くんって大きいよね。何cmあるの?」
「191cmだよ。」
「いいなあ。ねえ、さっきから何読んでるの?」
大賀は、溝夜が熱心に読んでいた冊子を覗き込む。
「あ、これ、寮のパンフレットじゃん。」
「う…うん。僕、今日こっちの島にきたからまだ入寮してなくて。寮までの道がわからないから確認してたんだ。」
「じゃあ僕が案内するよ。僕も寮生だから。僕は平良島から来たんだけど、溝夜くんは?」
「ほんと!ありがとう!僕は尾ノ島だよ。」
「尾ノ島からの入学者も少ないから不安でしょ?でも寮はすごくいい人たちばっかりだよ。先輩達も寮母さんも。」
「そっか、良かったー。」
身長の割に、華奢な体つき。
その細身な体格同様、臆病で繊細そうな印象を受けた。
「あ、寮って2人部屋なんだよね?僕と同部屋になる人ってどんな人だろう?」
「確か剛の部屋だけ1人だったな…。僕の友達だから大丈夫。松木剛ってやつで、少し言動は荒っぽいけど、いいやつだよ。」
溝夜はほっと胸をなでおろした。
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