Period3 柔よく剛を

5/6
前へ
/46ページ
次へ
―――夜になり、大賀と犬岡がくつろいでいると、隣の部屋から叫び声が聞こえてきた。 慌てて隣の部屋に駆け込むと、松木が溝夜に馬乗りになっている。 「あ、大賀くーん、『少し荒っぽい』なんて話が違うよ、助けてよー。」 「な、何これどうしたの?」 焦りながら二人を引き離し、大賀と犬岡は尋ねた。 「見てみろよ。」 松木は壁を指差す。 2人が壁に目をやると、そこには白人バスケットプレーヤーのポスターが貼ってあった。 「お、かっこいい。」 「これだれ?」 「ジードルナス・イルガスカスって元NBA選手だよ。屈強な選手やアスリートタイプの選手が多いNBAで、柔よく剛を制すって感じでゴール下を支配してた選手なんだ。技のデパートなんて呼ばれたりして。強さも速さもない僕が目標にしてる選手さ。」 溝夜は額をさすりながら起き上がる。 「じゃあ溝夜くんもバスケするんだ?」 「え、じゃあ大賀くんたちも?」 「柔よく『剛』を制そうとして、逆にやられたわけね。」 犬岡の言葉に反応し、松木がまた語気を強める。
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加