Period1 AICHI

3/5
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/46ページ
ちょうどいつものように学校の前にある駄菓子屋に寄った帰り。 バキッ ドサッ この静かな町におおよそ似つかわしくない音に驚き、グラウンドに目を向けた。 「…だれだ、あれ?」 「…見たことないね。…不審者?」 グラウンドに座り込む見知らぬ男のもとへ好奇心で駆け寄る。 「いってー。」 「…おっさん、誰?」 犬岡大輔(イヌオカ ダイスケ)、松木剛(マツキ ゴウ)、大賀健二(オオガ ケンジ)。 3人が本物のバスケットに出会う運命の瞬間だった。 「おっさんって…まあ、スポーツの世界で27は確かに中堅と呼ばれ始める頃だけどさ。」 「なんかぶつくさ言ってる。」 「やべ、まじで不審者?」 「先生呼んでこようか。」 「い、いや、ちょ、ちょっと待て。怪しくない。怪しくないから。」 中学生のリアルな反応に慌てて取り繕う。 「俺はこの学校のOBで、大つ…」 「あー!ゴール壊れてる!」 言葉を遮り大賀が大声を出す。 青年の手には、腐敗したボードの欠片がついたリングが握られていた。 「あ…。」 「なんで壊したの?」 「わ、わざとじゃねーよ!ちょっと軽くダンクしただけなのになあ…。」 「えーおっさんダンクできっと?身長俺と同じぐらいじゃない?ちょっと立ってみてよ。」 松木にそう言われ、立ち上がる。
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!