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ちょうどいつものように学校の前にある駄菓子屋に寄った帰り。
バキッ ドサッ
この静かな町におおよそ似つかわしくない音に驚き、グラウンドに目を向けた。
「…だれだ、あれ?」
「…見たことないね。…不審者?」
グラウンドに座り込む見知らぬ男のもとへ好奇心で駆け寄る。
「いってー。」
「…おっさん、誰?」
犬岡大輔(イヌオカ ダイスケ)、松木剛(マツキ ゴウ)、大賀健二(オオガ ケンジ)。
3人が本物のバスケットに出会う運命の瞬間だった。
「おっさんって…まあ、スポーツの世界で27は確かに中堅と呼ばれ始める頃だけどさ。」
「なんかぶつくさ言ってる。」
「やべ、まじで不審者?」
「先生呼んでこようか。」
「い、いや、ちょ、ちょっと待て。怪しくない。怪しくないから。」
中学生のリアルな反応に慌てて取り繕う。
「俺はこの学校のOBで、大つ…」
「あー!ゴール壊れてる!」
言葉を遮り大賀が大声を出す。
青年の手には、腐敗したボードの欠片がついたリングが握られていた。
「あ…。」
「なんで壊したの?」
「わ、わざとじゃねーよ!ちょっと軽くダンクしただけなのになあ…。」
「えーおっさんダンクできっと?身長俺と同じぐらいじゃない?ちょっと立ってみてよ。」
松木にそう言われ、立ち上がる。
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