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勝負が始まって1時間が過ぎた。
「くっそ…。」
体育や昼休みのバスケのように思い通りにいかない。
3人がパスを回せば容易にゴールを奪えると思っていた。
なんせ、相手は1人なのだ。
どうやったって2人は自由になる。
しかし、スリーポイントラインの手前までくると大槻がぴったりと張り付いてくる。
この状態でパスをしようにも大きな手がそれを阻む。
目線や腕の振りでフェイントをかけても全く惑わされない。
大槻がマークにつく前にパスをしたら?
ボールが手から離れる前にはもうパス相手の方向へのダッシュが始まっている。
結局、途中でパスカットに合うか、パスを受けたときには間を完全に詰められ、身動きのとれない状態になっているのだ。
もちろんドリブルで抜くこともできないし、遠くからテキトーに放り投げたシュートにも期待はできない。
そのシュートだって、2本に1本はブロックに合ってしまうのだ。
スポーツには自信のあった3人だったが、歴然とした力の差を感じていた。
もっともこのときの3人は、大槻が日本屈指のバスケットプレーヤーだということは知らなかったのだが。
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