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屈辱にまみれる3人を相手にして大槻は、心底楽しんでいた。
「(こいつら、面白い!)」
一見、3人の中学生を1人の青年がもてあそんでいるかのように見えるが、その中でもひやりとする場面が何度も訪れていた。
大槻はボールが犬岡に渡ると、いつもより少し腰を落として構えた。
「(こいつの瞬間的なスピード…俺といい勝負かもしれない。…くる!)」
犬岡が大槻の右側を抜こうとドリブルを仕掛ける。
ダムッ
しかし大槻はその正面に素早く回り、進行方向を完全にブロックする。
「(ボールハンドリングが甘いから2歩目でスピードに乗り切ることができない…。右手しか使えないから右にしか仕掛けられない…。)」
「くっ…。」
犬岡は後ろの大賀にボールを戻す。
大槻はすぐさま間合いを詰め、次のプレーを予測する。
「(こいつの身体能力は並。だけど、ボールの扱いが柔らかい。すごく器用だ。そして…この…。)」
大賀はスリーポイントラインの少し外でシュートモーションに入る。
「(またフェイドアウェイ気味に…くそっ、届け!)」
大槻の迫力に気圧されてか、ナチュラルなのか、それとも考えてのことなのか、大賀は、若干後方に跳びながらシュートを打つのだ。
このときディフェンスする大槻との間にほんの少しの間合いができ、結果的にシュートブロックを困難にしている。
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