5人が本棚に入れています
本棚に追加
/46ページ
トンッ
指先がわずかに触れた。
「あっ…剛!とって!お願い!」
着地した大槻はすぐさま振り返り、ゴール下に走る。
「任せろ!今度こそ!」
ゴール下では松木がリバウンドをとろうと既に構えている。
走り寄ってきた大槻に体をぶつける。
「(こいつのパワー…高校生並じゃないか…。前に回るのはもう無理か…。)」
ガンッ
リングがボールを真上に弾く。
内側のポジションを完全に松木にとられたまま、2人は同時に地面を蹴った。
「(この猿野郎、たけー!仕方ない、ワンハンドでとりにいくか…。)」
右腕を精一杯伸ばす。
ガシイッ
大槻の右手、松木の両手が同時にボールをとらえる。
「う…りゃあ!」
2人のパワーはほぼ互角、両手でつかみにいった分、松木に分があった。
そのままボールを懐に抱え込んで着地した。
「よし!初めてとったー!」
「剛!シュート!」
大賀の声を聞き、松木が腕を頭上に掲げると、無防備な姿をさらけ出したボールは大槻にはたき上げられた。
「あっ…!」
「剛のばかー!」
「(あぶねーあぶねー。あとはこのボールを確保して…。)」
「剛!そのまま力入れて立っとけ!」
声の方を振り返ると、犬岡がものすごい勢いで加速しながらゴール下へ向かっている。
最初のコメントを投稿しよう!