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とても困っているようには見えない先輩の様子に思わずうなだれる。
「・・・あの~」
九島先輩の相手をするのが疲れた俺は一見まじめそうな三嶋先輩に目線で助けを求める。
三嶋先輩はこちらに気付き視線をよこす。
俺の視線の意味を察したようで、立ち上がる。
「はぁ。では愛歌先輩にかわり私が説明をさせてもらいます」
持っていた飲み物が入っているグラスを置き、こちらを向く。
「私たち助力部の方針は名前の通り生徒たちを助力することです。まあ助力といっても生徒たちの悩みを解決するといったような感じですね。しかし部の設立から一年、一度も依頼が来たことはありません」
それってほとんど意味ないんじゃ・・・。
「そこで私たちはなぜ依頼が来ないか考えたのです。そして導きだした答えは実績がないこと」
まあ、そうだろうな。
なんの実績もないところに自分の悩みを打ち明けるやつはほとんどいないだろう。
「なのでまずは部員を増やし助力部を宣伝しようと考えたのです。そこでまずはあなたというわけです」
「なるほど。ではお断りいたします」
きっぱりと断った。
「うう。うわーん」
直後、九島先輩が泣き出す。
元々童顔の九島先輩がなくと非常に罪悪感に苛まれるのだが、俺は屈しない。
「泣かれても入りませんよ」
「うわーん」
「・・・・・・」
「うわーん」
「・・・・」
「うわーーーん」
「ああ!もうわかりましたよ!」
折れてしまった。
「ではここに名前を」
つかさず、入部届をわたされる。
なされるがままに名前を書くと、すぐ回収される。
すると、九島先輩の様子がすぐに泣きやむ。
「ふふ。ありがとね」
先輩の笑顔に思わず見とれてしまう。
ってこんなことをしている場合じゃなくて!
「・・・・嘘泣きですね?」
二人の先輩の顔を見ると、すぐに顔をそらされる。
しかしすぐにこちらに顔をもどし言う。
「ようこそ助力部に!」
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