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あたしは小さい頃、父が大好きだった。 父は、大企業の社長。 何でも欲しいものは買ってくれたし、 流行りのものも、いち早く手に入れてくれた。 何かを習いたいと言えば直ぐに習わせてくれて、 何不自由ない生活を送っていた。 大企業の社長。 そんな父を、尊敬していた。 お父さんは、とっても偉い人なんだ。 幼いあたしも、それは理解していた。 だから、あたしの家では父は絶対条件。 何の不満もなかった。 だって。お父さんは凄い人だから。 沢山の人の頂点に立つ、とっても偉い人だから。 お父さんは、あたしの為なら何でもしてくれるんだ。 それは、お父さんがあたしを愛してくれているから。 そう信じて疑わなかった。 だけど、それは違った。
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