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歯を磨き終えると、あたしは黙って佐原さんに着いて行った。
そして、少し歩くとドアの前に止まりドアノブを捻る。
「…………」
思っていた部屋と違った。
佐原さんの予感が的中していたなんて
悔しいから言わないでおいた。
そして、佐原さんがドアを開けると視界にはベッドが視界に映る。
「え?二つ?」
そこには、シングルベッドが二つ。
「何?一つが良かった?」
「な訳ないじゃん!」
つい、大声を出してしまう。
「うるせぇな」
そう言いながらも佐原さんは自分のベッドへと入って行った。
「…………」
その後に続く様に、あたしも自分のベッドに入る。
「…………」
「…………」
まぁ、よく考えてみれば佐原さんにとっても不本意な結婚。
ベッドが二つでも、おかしな事ではないのかもしれない。
だけど。
「襲ったら警察呼ぶから」
一応、釘をさしておく。
「黙って寝ろ」
あたしの心配を他所に、
佐原さんはあたしに背中を向けながら、そう言った。
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