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次の日。 お父さんは、あたしに言った。 「彼の事、色々調べさせてもらった」 「父親はサラリーマン。母親は専業主婦。普通の一般家庭で育ったみたいだな」 「頭の方は下の下。話にならん」 付き合う理由に、家庭や頭は関係あるの? 「昨日の晩、彼と彼の親御さんと話させて貰った。」 「そこで、彼は別れると言っていた」 嘘…でしょ? お父さんは、権力を使った。 中学生のあたしでも分かった。 「いいか?美結。 お前は俺の大事な一人娘だ。 子供の恋愛と言っても、あんな男は悪影響だ。 もっと、ちゃんと人を選びなさい」 「分かったな、美結」 お父さんは、偉い人。 お父さんは絶対条件。 小さい頃から染み付いた思考。 それは、まるで体に巻き付いた鎖の様で。 「…はい、」 どんなに不満や疑問を持っていても、 逆らう事なんて出来なかった。
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