満月の夜に…

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あと少しで女に手が届く瞬間! 仮面の男は後ろへと飛び退いた。 男は何が起こったのか分からなかったが、手を伸ばした左手はやや焦げていた。 女を見据えるといつの間に女の前に光で出来た壁があるのが分かる。 女はまた子供に柔らかい微笑みを向けると、そのまま崖の方へと振り返り子供を空へと抱えだし目を瞑りながら唱え始めた。 「我らが神と崇めし者。 我は光の使いし定めの子。星と星の巡りに万物の光が運命を指ししめす光とならんことを…」 唱え出すと子供の身体が急に光だし、満月を背に宙と浮かびだす。 「まさか…空間魔法か!」 男は目の前の光景を疑い動けずにいたが、行かせまいと子供に手を伸ばす。
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