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満呪写華は優しく語りかけるように水晶玉に向かって呪文を唱えると、それに答えるかのように水晶玉は淡く光り出した。
「そう…わかりました」
呟くように満呪写華は言い私の目をじっと見つめた。
その瞳に吸い込まれてしまいそうな錯覚を覚える。
「トモミさん。3日後あなたに素晴らしい出会いがあります」
「出会い?」
「ええ。男性です。あなたはその男性に愛される」
「愛される…だなんて…まさか!」
「いいえ。必ず愛され、尽くされます。この男性に愛される事によってトモミさんは必ず美しい蝶になるでしょう」
「…蝶?」
「トモミさんは硬い殻に守られ本来の姿になる前の準備段階…いわば蛹の状態のままなのです。
その硬い殻を破り美しい蝶になる事を阻止していた優子さんはもういない…羽ばたくのです」
「あの…」
「分かっています。…初めて会った胡散臭い老婆にそんな事突然言われてもね…にわかには信じがたい…でしょ?」
満呪写華はクスリと笑った。
「3日後、あなたの前に素晴らしい男性が現れ連絡先を交換することになります。
そして“お礼”と称してデートすることになるでしょう。
もし、その通りになった時はもう一度私へ連絡を下さい」
「もし…その通りにならなかったら?」
「トモミさんが一番欲しいものを差し上げましょう」
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