正義の味方は15番

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光は次の日も、普通に学校に通い…善行を積んでいた。 「はい、これ宿題ね。」 知美にノートを渡す。 「…本当、助かったわ。 最近、友達付き合いが忙しくてね。」 「知美ー…まだぁ?」 そんな知美の後ろからは、女の子の呼び声が聞こえる。 どうやら、友人のようだ。 知美は急いでノートをもらって去ってゆく。 「今行く!」 微笑ましい光景だった。 「…間蔵野、パン買って来てくれ!」 休む間もなく、男子が光に用事を言いつける。 「何のパンですかぁ?」 「激甘カレーパン!」 安請け合いする光も光だ。 だいたい、激甘カレーパンって何だとお思いだろう。 銀高校の購買には実在するが…食べる生徒も珍しい一品。 フルーツカレーがぎっしり詰め込まれた、甘口カレーパンだ。 「すぐに行ってきます。 …お代は前払いで。」 光は代金を受けとると、ダッシュで購買へ。 かのカレーパンを買いつけ、5分で戻る。 「すまないな。」 お使いは無事に済ませた。 その後ろを小夜が呆れ顔で見つめる。 「…本物のバカだわ。 あの人は、一体何を考えているのかしら。」 ここまでお人好しだと、同情する気にもなれない。 アホらしくなって、彼女は声もかけずに去っていく。 授業が始まるが小夜はサボろうか出ようか考えながらも、今日は真面目に出ることにした。 キーン…コーン…カーン…コーン。 高らかに始業のベルが鳴る。 光と小夜を含む二人は席についた。
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