学校一番のお便利屋さん

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間蔵野 光(まくらのひかる)は苺渡(いちごわたり)市に住む16才である。 ショートヘアのヘアピンつきの若々しい女の子で、目つきが明るい。 一言で言えば、善人の権化のような女の子だ。 制服には飾り気がないが、携帯電話には水玉模様のストラップなど、微妙にオシャレにこだわりがある。 高校2年生で、銀(しろがね)高校に通っている。 部活動は無し、特定の委員会に所属することも無し。 ただ、彼女はこの学校の…。 そんな彼女の毎日は朝の早起きから始まる。 「おはよう、お母さん!」 朝は7時前に起き、家族の目覚ましの代わりを務める。 母親の七重(ななえ)は、それを合図に朝ごはんの支度を始めた。 「おはよう、光。 あいかわらず元気ねぇ。」 仕事明けでもしっかり起こしてくれるが、もう少し気を使って欲しい。 「だって今日は、10番なんだもん! きっと良いことがあるよ、逆じゃないし。」 しかも、本人にしか分からない言葉を使う。 前に気になって尋ねたが、いつまで経っても教えてくれなかったから諦めた。 「どうでも良いけど…朝ごはんはちゃんと食べなさいね。 トーストは作れるでしょ?」 七重は浮かれる光をしかりつけた。 それでも器用なもので、手を動かしながらスクランブルエッグを作っている。 「はーい。 じゃあ、すぐ用意しま―す。」 光は元気に返事をしてから、朝食の支度を始めた。
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