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「だから何もしないで帰るんだって」
「そうじゃなくて、君に言ってるの」
「私?」
話だと、だんだん近づいてきて終わりだけどこのメリーさん、役目果たせてないじゃん。
「そりゃあ……どうしょう」
「都市伝説未成立だけど?」
本来なら電話を受ける側は家にいなくてはならない。しかし今回の相手は僕で、その時僕は家にいなかった。結果的に家にいる僕の背後に立つこともなく、僕の部屋でマジ泣きしたことだけが残っている。
「ど、どうしょう」
メリーさんの目に涙がたまり出す。……メリーさんは泣きやすいのか?
「ど、どうし!……どうしょう~!」
恐らく3度目のメリーさんのマジ泣き。
「よ~しよし。泣かない泣かない」
「でもでも、帰れないよ~!」
メリーさんの身長は30㎝弱。かなり小さな女の子が声をあげて泣いていると流石にほっとけない。
「だったら僕の家に住むかい?」
「ひぐっ、えぐっ……ふえ?」
「帰れないならここに住んでも良いよ。君が良ければだけどね?」
「……………良いの?」
「俺は構わないよ。それに帰りたくなったら自分の居場所に帰っても良いからさ」
それから暫くの静寂が訪れる。
「…………その、しばらくよろしくお願いします」
「どうぞ。いらっしゃい僕の家へ」
こうしてお化け屋敷の住人にメリーさんが加わりました。
「あ、この家お化けとかいろいろ出るけど気にしないでね」
「…………へ?」
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