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「・・・・・・ウソ」
「八尺。ウソじゃない現実だ」
「俺はこんな感じだけどね女だよ」
信じられない。八尺の思考は停止している。
信じられない。もしくは信じたくないのだろうか。
「貴方・・・いや、雪花さんというお名前でしたよね?本当に・・・」
「そうだね。これでも女だ」
「・・・貴方ではなく貴女」
何か、何か女ではない証拠はないか八尺様は考える。
・・・しかし、あれこれ提案を出しても出てくるものは男ではなく女である証拠のみ。
「・・・そっか。私は間違えていたんだ」
うなだれて顔を下げる。それと同時にかぶっていた帽子が畳の上に落ちる。
「私はいつだって自分が好きになった人と一緒にいたくて沢山の人を側に置いてた。・・・皆私を怖がって話しをしてくれなくて他の人ばかり。だから殺した。私を見てくれないから」
拳を少し握りしめるが、腕にロープがくい込む。
「・・・初めてだった。相手から私に声をかけてくれた人は。嬉しかった。何より優しそうな顔をしていてもしかしたら変わるかも知れないと思ったんだけどね。・・・まさか男性だと思っていたら女性だなんて。八尺様も見境が無くなってきたのかなぁ」
涙はこぼれていない。ただ、やるせない気持ちが溢れていた。
「・・・いいじゃないか見境が無くったって」
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