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≪皇輝side≫
初めての生徒会室は、何だか妙な空気だった。
「…何の用ですか、風紀委員長が」
何の、用…?
良く言うよ、仕事もしないで、男の尻追っ掛けてる奴が。
時雨先輩も同じ事を思ったみたいで、眉間に皺が寄っている。
「…ちょっと頼みがあってな。生徒会長、時間はあるか?」
「……、…聞いてやる、言え」
「新入生歓迎会を、風紀委員長とコイツは休ませて貰う」
生徒会長は、何故か申し訳なさそうに目を伏せた。
「何でだよ!!行事は皆出なきゃいけないんだぞ!!!」
ゴキが、時雨先輩の前に立って言った。
原因はお前なんだけど、って言っても低能な猿に分かるわけないか。
すると、ゴキよりも小さい奴がゴキに言った。
「五月、落ち着いて。彼等にも事情があるんだよ」
この人、前に食堂でぶつかった…。
「ごめんね、美波くん。皆本くんも」
「………いえ、大丈夫です」
俺が答えると、先輩は笑った。
「お茶飲んでって。くまが、酷いよ?」
目の下を指でなぞられる。
寒気がしたのは、気のせいだろう。
俺と時雨先輩は、言葉に甘える事にした。
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