鶴亀奇譚

2/16
前へ
/16ページ
次へ
   浦 島太郎は、この国のちょうど真ん中あたりにある都市に生まれました。  父親は、いくつもの会社を経営する資産家で、土地の名士でした。威厳ある風貌とは裏腹に、やたらと世間体を気にするところがありました。  さて、母親とはいいますと、威厳のある父親とは正反対の、気さくな人でした。  彼女の父親、つまり島太郎からみると、おじいさんにあたる人が創立した学校の経営を受け継ぎ、熱心な教育家として有名です。  その教育方針は 子どもたちの自主性を重んじ、自由に活動させることでした。  ユニークな方針と同じく、お顔立ちも とってもユニーク、おかめ・ひょっとこの おかめそっくりの優しいお顔で、子どもたちに 大人気。もちろん 島太郎も 大好きな母親でした。    
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

73人が本棚に入れています
本棚に追加