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自殺サークル……
それはリアルに悩み、生きる事に疲れた自殺志願者を募ったサークル。
このサークルの主の提案でついに、自殺を決行する日が来た。
「ここか……」
バスを降り、待ち合わせ場所である大きな公園に最初に着いた男。
この男も自殺志願者の一人。
黒いサラッとしたショートヘアーに、綺麗な顔立ちは道行く女性に一度は振り返らせる程の容姿だった。
服装は青のジーンズに、紺のシャツ。
ここまでの説明では、完璧なイケメン男性像を浮かべたと思う。
しかし……
彼の着ているシャツの胸元と背中には〝亀〟と書かれていた。
簡単に説明すると、まんま悟空愛用の服だ。おそらく、ドンキで購入したものだろう。
そう……
彼は残念なイケメンだった。
普通の服装をしていれば、女性の温かな視線で釘付けなのだろうが、この服装。彼を見る人々の視線は冷ややかで痛々しいものだった。
そんな痛々しい男は、他の志願者を待つ間、音楽を聞き、それを口ずさみながら暇を潰しているのだが、これがまた痛い。
「会いたかった~会いたかった~会いたかった~
ゲッツ!
会いたかった~会いたかった~会いたかった~
ゲッツ!……坂野~」
AK○の『会いたかった』の替え歌を歌いながら、両人差し指を電柱に向けて、ゲッツ!と決めポーズ
彼には人の視線でダメージを受けるような、繊細な心は持ち合わせていないのだろう。
「これぞ、AK○とダンディ○坂野のコラボ。今は消えてしまった奴のネタをコラボさせる事で、再び復活の火を灯す。問題はPV化した時の奴のポジションだ。サビのゲッツ以外に、奴にはやる事がないという……
これについてどう思うかね?少年」
一人でぶつくさ言いながら考え込む彼は、キャンディーを舐めながら冷ややかな目で見上げる幼子に問い掛けた。
「笑えばいいと思うよ」
幼子のこの一言にフッと笑うと……
「あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!」
こうして、公園には彼を残して周りに人は居なくなった。
「えっと……あんたがもしかして、もも……しろじろさんかいな?」
そんなダンディー復活ネタに一人燃えている所を関西弁の男に声をかけられる。
変な服に、遠目で見ても痛いこの男に話し掛けるのには、余程勇気を振り絞ったであろう。
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