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「……ねえ」 わたしは呼び止められた気がして、後ろを振り返った。 高校生くらいだろうか。 背の高い男がわたしのことを見つめていた。 深緑色のカーディガンを着ている。 誰だろう。こんな知り合い私にいない。 「……誰ですか?」 警戒して低い声になる。 男は驚いた表情をして、少し考えてから言った。 「俺のこと、見えてる?」 「え?」 男の言葉の意味がわからなくて、わたしは聞き返した。 男は目線を落として、ためらいがちに口を開いた。 「俺、幽霊なんだよ」 やっぱり、意味がわからなかった。 でも、どうしてか声も出なかった。
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