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「きゅ――――――っっっと!!」
シラタマに指令を与えるべく、足を止めたその瞬間だった。
細道から駆けだしてきた女の子が突如叫んだ。
「はぁ、はぁっ。ね、ねぇ。だ、だ、だ、抱いてもいいよね? 怒らないよね?」
栗毛色の髪をした小さな女の子が足元に座り込んだ。ショートの髪に若干ボブがかかっているようで、くるんとした毛先が可愛らしい。俺を見上げるその少女は体格的には中学生のソレ、あるいは発達のいい小学生と大差ないように思えたのだが、彼女が身につけている服はおそらく、俺が今日から通う学校のモノだった。
『おそらく』、と断定できない理由は、女の子の体躯が幼すぎることともう一つ、彼女が上半身に着ている真っ黒なパーカーのせいだ。うちの学校の制服は男女ともにブレザーなわけだが……完全に無視している。入学式からここまではさすがに目立てないな。
と、そんな考察はさておき。
目が合った。
瞳がすごく光っていた。
星のようだ、なんて可愛いものじゃない。
もう、ギラギラだった。真夏のお日様みたく。
異常と言っても差し支えのないほどの煌(きら)めき――改めギラめきを放っている。
息遣いが若干怪しい。
顔も少々赤くなっている。
「……俺を?」
こうして俺の登校一日目が始まった。
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