First part:始業式

22/68

22人が本棚に入れています
本棚に追加
/129ページ
「それを、やってのけたのさ」  隼人はきっぱりと言い切った。 「………………は?」  当然の疑問符だった。 「だから、やってのけたのさ。個人の才能の数値化。そして天才の選抜を」 「やってのけた……って、え、どうやってだよ? 何を基準にしてさ?」 「さあ?」 「さあ、って……」 「方法は僕も知らない。誰が知っているのかもわからないんだよ。でも確かに、選抜できるようになってしまったんだ。できるようになってしまった以上、その選抜方法なんて些細な問題さ。今さらその選抜方法を知ったところで仕方のないことだよ。重要なのはそこじゃない。重要なのは僕ら【、、】が有能な人材として、天才として、選抜されてしまったことなんだよ」  ……。  ………………。  ………………………………。 「…………………………は?」 「うわー。ためたねー」  体を寝かせたまま、花梨がつっこんだ。  にゃおん、とシラタマも同意する。 「え、つまり。隼人も一条も、選抜された……、その、“天才”ってこと?」 「僕ら自身、そんな呼び名が好きなわけじゃないけどね。それと、僕らだけじゃなく、キミも、だよ」 「……え、俺が天才?」  驚かなかったわけじゃない。だけど、 「はっ、まさか」  今度は溜めずに、鼻で嗤ってやった。
/129ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加