First part:始業式

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「そう。確かにこの世界に〇と一〇〇は存在しないだろう。存在しない、ということにしておこう。でも重要なことはそこじゃあない。いやむしろ、〇と一〇〇さえあってくれれば今の世の中はずっと御しやすかったのかもしれないね。……いいかい、一騎。僕らが本当に憂慮すべきことはね、〇【、】と一〇〇【、、、】が存在しないこと、言い換えれば一【、】と九九【、、】が存在することなんだよ。――一と九九が存在する。この意味がキミは分かるかい? 要はね、オッズが一緒なら勝率の高い馬に賭けたくなるのと一緒さ。可能性の問題なんだよ。第一〇〇万位の凡人よりも、第一位の天才の方が有用な可能性は高い。だから政府はこの数値化を採用し、天才の引き抜きを行っている。この数値化には有用な可能性が高い【、、、、、、】人材を選抜するっていう意味があるんだ」  続けて隼人は語る。 「この聖盾【学園】はね、政府が選抜した天才を養成するために創られた箱庭なのさ。政府を守る『聖なる盾』の育成機関、故に“聖盾学園”。そしてこの選抜に生き残り、この国を守る“聖盾【アイギス】”となった者は、溢れんばかりの富と力を得る。……とまあそういう謳い文句なのさ。実際には汚れ仕事が多いし、聖なる、なんて名前だけなんだけど」  〇.〇一パーセントの確率で引き抜かれた子供たち。  政府主導の子供たちの格付け。  天才“聖盾”の育成機関。
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