22人が本棚に入れています
本棚に追加
/129ページ
「……分かった。とりあえず、お前の言うことを信じよう」
「ああ、僕【、】ではなく僕の言うこと【、、、、、、】を信じたんだね。参考までに、理由を尋ねても構わないかな?」
「隼人、残念だけど俺は素面でお前の言うことを信用できないよ。俺のことは俺が一番知ってる。俺が平凡で平均的で脇役なのは十分自覚してるさ。俺がこの一五年を過ごして感じた経験は、残念ながらお前の言葉一つで覆るようなことじゃないと思う」
「それでもキミは僕の言うことは信じたんだろう?」
「そこに転がってる奴が口を挟まないからな」
「なるほど」
少なくとも反応はなかった。
二人が前もって内通しているなら意味はないかもしれないけど、花梨が妙な反応をしなかったということは、二人は共通の見解を持っているということになる。
拳銃を向けられた相手にこんなことを思うのも馬鹿げている気がするが、隼人はともかく、花梨は騙したり隠したりっていうのはあんまり得意そうには見えない。拳銃を向けられた時の剣幕は凄かったけれど、普段の雰囲気はふわふわしてるし。
「で、信じたうえで、いくつか質問させてもらいたい」
「いくつでも構わないよ。とりあえず、聞いてみようじゃないか」
「ん、ありがと。んじゃ、とりあえず一つ目。教室に入った時一条はお前と普通に話してたよな。二人は知り合いなのか?」
あれは教室に入った時から気になっていた。まるで当然のように花梨は隼人に話しかけていた。確かに花梨は馴れ馴れしいやつだけど、俺に話しかけた時はもうちょっとそれらしい態度をとっていたはずだ。
花梨のあの態度は彼らが知り合いだと思わせるには十分だった。
「ははっ。一騎、妬いてるのかい? 男の嫉妬は醜いよ」
「違うわ」
……違うわ。
最初のコメントを投稿しよう!