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「簡単に言ってしまえば、一人より五人のほうができることが多いってこと。逆に言えば、たとえ“聖盾”であっても、一人ではできないことがあるってこと」
「そんなことあたりまえだろ?」
そう、あたりまえだ。だって俺たちは単なる人間で、単なる子供なのだから。
「そう、当たり前のことだ。でも重要なことでもある。“聖盾【アイギス】”がいくら優秀とは言え、個々人に視線を向けてやれば得手不得手がもちろんあり、それ故に人間【僕ら】は万能にはなれない。たとえ一人の天才がいたとしても、自己本位な行動でチームワークを乱すようなら、それは“聖盾”には相応しくない。この制度にはそういう意味があるんだよ」
「……そうか。有能な人間が一人いたとしても、それは所詮一人で行っているのだから止めるのは容易い。“聖盾”もその例に漏れないし、犯罪者だって捕まえるのが難しいのは、個じゃなくて群……ってことか」
正解を答えた生徒褒めるように隼人は頷いた。
「さて。一騎、さっき僕はこう言ったよね? 『僕たちは基本的に数値の高い順にA組、B組、C組、と五人ずつ割り振られる』。覚えてるかい?」
単位の話の前に話したことだ。そう長い時間が経っているわけもなく、もちろん頷く。
「そうだね。つまり単純に考えれば、我々Z組は才能の数値が一二六位から一三〇位ってことになるんだけど、実際はそうじゃない」
「……基本的【、、、】に。隼人はそう言ったからな」
「よく聞いていたね。その通りだよ」
隼人はにやっと笑って話を続ける。
「才能の数値が上位の者たちは、正しくはどのクラスに入るか選択する権利【、、、、、、、、、、、、、、、】が与えられるんだ。だから第一位がZ組に入ることもできるし、第一三〇位がA組――特待クラスに入る可能性も一応はあるんだ」
「あれ、でも俺は選択した覚えなんてないぞ」
「あー、理由はいくつか考えられるけど……単純に、選択する必要がなかったからじゃないかな?」
選択する必要がない。
ということは。
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