First part:始業式

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「かずくんが選ぶ番のときには、Z組しか余ってなかったってことかなー?」  ……だよな。 「ははっ、別に落ち込むなよ、一騎。たとえキミがこの学園内最低の天才だとしても、それは全国一〇〇万の人間の第一三〇位なんだぜ? 十分称賛に値する」 「そりゃそうなんだろうけどさ」  俺自身、自分は平均的な男子学生だと思っていたわけだし、その認識は今も変わっていないのだから、むしろ十分すぎる評価なのだが……それでもやはり最下位というものを悪く感じてしまうのは男の子の性だろうか。 「俺の順位は置いておくとして、隼人の話だとA組から数値順に割り振られるってことの方が不自然じゃないか?」 「そうかい? そうでもないさ。みなこの学園を卒業したいんだ。そう望むほどの見返り――一人の器には収まりきらないほどの富と力が、この学園の卒業者――“聖盾【アイギス】”には与えられる。故に、自然と才能の数値が高い連中はなるべく上のクラスに入ろうとする。だってそうだろ? 上のクラスに入ればよりレベルの高い天才と同じクラスになれる可能性が高いんだ」 「あ、そうか。みんな目指すところは卒業。だからクラスのレベルにも、一定の傾向が出るのか」  みんながみんな卒業したいと思う。だからこそ隼人の言ったような傾向がクラス間に現れる。 「で、ここからが本題だ」 「随分と長い前置きだったね」  目を閉じたまま花梨が言う。  えっとそもそもの本題は。
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