First part:始業式

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 えっとそもそもの本題は。 「まず一騎からの質問、僕とおちびちゃんがどうして同じ目的を持っていると分かったか、だったね。そしておちびちゃんからの質問は僕の目的は何か、だ」 「おちびじゃない」 「まず、一騎。率直に言うけど、僕もおちびちゃんも本来Z組にいる生徒じゃない。さっきの話に合わせるなら、『基本的』じゃない生徒、例外なんだよ。僕たちは、望むならもう少し上のクラスに入ることができた生徒だ」 「まあ、そうなんだろうな」  わざわざ基本的に、というからには例外がある。そしてこの場でわざわざその言葉を口にしたということは、例外が俺たちに関係していると考えてもいいだろう。 「それ故に目的がある。……って言ってもね、この学園の新入生には毎年僕らのような天の邪鬼が数人いるものなんだ。そして彼らがこのZ組に入る理由はほぼ一通りに限られる。そしてこの僕も、そしておそらくおちびちゃんも、その例に漏れない」  にゃあと声がした。  シラタマが足元に寄ってくる。  花梨はシラタマを抱いていた姿勢のまま動かなかった。 「僕は、この学園を壊しに来た」  悪戯好きのガキ大将のようにも、仕事に疲れた中年のようにも見える顔で隼人は言った。 「……壊す?」 「ああ、そうさ」 「天才の学園を?」 「ああ」  俺は他人の嘘を見抜けるような慧眼を持っていない。  それでもなお嘘だとは思えない。そう感じるほど、隼人の言葉はまっすぐに聞こえた。  老けた顔に憎たらしい笑顔を張り付けたちぐはぐな顔のくせに、その顔が嘘を吐いているのならば、騙されてもいいと思った。
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