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無言で頷く。
二人が初対面のように見えなかった理由は分かった。
でもそれ以上に驚くべきことがありすぎて、頭が混乱している。
「とにかく、二人が聖盾学園を壊すっていう共通の目的を持ってるってことはわかったよ」
「ぼくはもう十分。あとは隼人くんにおまかせー、おまかせー」
そう言うと、俺の足元でくるまっていたシラタマを拾って簡易ベッドに戻って行った。
「それじゃ、質問二つ目。いい、隼人?」
「まだ時間はあるから、どうぞ」
隼人は言う。なにか指定された時間でもあるのだろうか。
「さっきも言ったけど、俺は運動も勉強もほぼ平均なんだよ。だからこの学園に引き抜かれるような理由が分からない。それを隼人は知ってるのか?」
「……ああ、その質問か。まあ、気になるよね。……でも、なんというか。その質問はちょっと答えづらい」
「どういうことだよ?」
俺の質問に、初めて隼人が解答を出せずにいた。
「キミは自分が普通の人間――平均的で平凡な人間、そう思ってるね」
「そりゃ、まあな」
正面から訊かれるとちょっと頷きにくいが。
「僕はこの学園への入学が決まってから今日までの間、キミやおちびちゃんはもちろんのこと、戦うべき同じ学年の人間や先輩に至るまで、できる限りの力をもって調べてきた。……その結果、僕もキミと同じ結論――つまり、キミは平均的な凡人だって結論しか出せなかったんだよ」
「――へ?」
ある意味予想通りの答えであったが、この学園にいるからには理由があって当然、と思っていた俺は、完全に虚を突かれた。
「じゃあ、俺がここに居るのは手違いか何か――」
「いや、それはない。安心していいよ」
安心どころかむしろ残念だ。
「だったらなんで……」
「僕の私見なんだが……血縁じゃないかと思っている」
「血縁?」
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