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「まったくそのとおりだよ」
隼人はため息混じりで、あろうことか俺の考えを肯定した。
「“聖盾”の血縁者って言うのはね、職業柄とか、そもそも“聖盾”って言う制度ができてからまだそれほど長い期間が経っていないって理由があったりして、確かに少ない。それでもキミ一人しかいない、なんてことはあり得ない」
「だったらなんで――」
「それが、分からない」
――答えづらい。
隼人の言葉の意味がようやく理解できた。
「キミが何の理由もなくこの学園に選ばれたとは思えない。だから僕は血縁じゃないか、と推測はした。……でも、キミの言うとおり、この推測には無理がある」
「だったら俺は……」
――ここに居る意味などないのではないか。
そう言おうとした声を、ここまで会話に参加していなかったもう一人が遮った。
「それ、変だね」
寝転がったままの花梨が言った。
「隼人くんはぼくがどんな能力を持っているのか知ってるんだよね?」
「ああ、学園のサーバーに侵入してね」
「でもそれならどうしてかずくんの才能は分からないの? だってかずくんはクラスの選択もできなかったんだよ? 明らかにランクが上のぼくのことは調べられるのにかずくんの才能が分からないって、そんなこと……」
「そう……。多分学園側が意識的に隠しているんだ。何らかの理由でね」
「そんなことって……あり得るの?」
「現に、あり得ている」
花梨の言いたいことは俺にも分かった。
さっき隼人が話していたように、この二人は俺とは違ってZ組以外のクラスを選択できた優秀な生徒だ。少なくとも、最低クラスたるZ組以外を選択することのできなかった俺よりは、ずっと優れていると評価されているはずだ。
それにもかかわらず、隼人が調べられたのは花梨の能力であり、俺の能力ではない。
ここまで話題には上っていないが、二人の会話を踏まえて考えれば、おそらく高ランクに位置づけられている生徒の能力ほど調べにくいように設定されているのだろう。それを踏まえて考えれば、俺の能力が調べられない、という事態は異常だ。
「キミは……一体何?」
「僕も、それが知りたい」
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