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この言い方は好きじゃないけど、と隼人は付け足して続ける。
「天才ったって……」
「まあ、とりあえずどんなもんか見てなよ。今日はどの道一騎には期待してなかったから」
この学園のことをほとんど知らないことは言うまでもなく、大人しく従うことにした。
「それじゃ、隼人くん。話をもとに戻すけど、あれを解決するのが、今日の授業でいいんだよね?」
隼人の肯定の意を聞き、続ける。
「なんでぼくたちが銀行強盗なんて捕まえるのさ? かずくんの科白(せりふ)じゃないけど、これこそ警察の仕事でしょ」
「おちびちゃんの言うことはもっともなんだけど、今回はちょっとレアケースなんだよね。ほら、さっきも言ったけど、彼らは武力行使を前提として行動しているみたいだからね、交渉でなんとかなる相手じゃない。下手に警察を動かしたら虐殺されかねない、って判断したみたいだね」
「それにしても、だよ。ちょっと大げさすぎない? わざわざ候補生とはいえ、“聖盾【アイギス】”を引っ張りだしてくるなんてさ。SATでもSITでも連れて来ればいいじゃない」
「――もう一つ、理由を挙げればね。五つ年上の“一〇五位”が、この事件の主犯なんだ」
「――なッ」
「あー、……なるほど、ね」
――“一〇五位”
隼人の言ったその数字は、間違いなく、聖盾学園における数値化された才能の順位だ。
“五つ年上”ということは、俺たちの先輩であり、そして“一〇五位”――“聖盾”になれなかった人間ということになる。
「暴走した不良品の回収も、ぼくらの仕事、ね」
「所詮は不良品だからね。警察組織では不安が残るけれど、正規の“聖盾”を使うまでではないと判断したんだろう」
――はあ。
花梨が重苦しくため息を吐いて続けた。
「それで、どうするの? 相手の人数も装備も分からないとは言え、現状こっちの戦力は多いとは言えないよね。この場にいるのはぼくを含めて三人。誰が解決するのさ? ドシロートのかずくんは非戦闘員。隼人くんだって情報専門でしょ? 誰があれを止めるのさ」
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