Second part:罪

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 まあ、よく知らないんだけどね、と花梨が苦笑い。 「“聖盾”って制度があればさ、この国を治めるのも、護るのも、次世代を育てるのも、みーんな優秀な人材を割り当てられるんだよね。適材適所、っていうんだっけ、こういうの。最高位の才能を十二分に発揮してもらうには、申し分ない制度なんだよね」  花梨の言葉は、まさに俺が考えていたことだった。 “聖盾”と呼ばれる天才たちは確かに一般には認知されていない。そして昨日の強盗事件然り、やっている仕事も楽な仕事ではないだろう。  でも、“聖盾”は悪ではない。  隼人は『汚れ仕事』と言っていたけど、“聖盾”は少なくとも政府に属する組織なんだ。どちらかと言えば悪よりも正義に近い存在であるはずだ。  それになにより、“聖盾”は優秀すぎる。  むしろ彼らを適した形で用いないことの方が罪だと思うほどに、彼らの能力は高い。  年間たった五〇人に与えられる称号。それが“聖盾”。  この制度は、有能な人材をベストな形で用いられる、正しい制度なんじゃないのか。  俺は“聖盾”に異を唱える理由を見つけられずにいた。 「かずくんは間違ってないよ。――ううん、むしろ間違っているのはぼくたちの方かもしれないね」 「それは俺が何も知らないからか?」  花梨は首を振る。 「もちろんそれもあるんだけどさ、ぼくが言いたいことはそこじゃなくて。言うまでもないことかもしれないけどさ、一学年二六クラス中、反学園派はぼくたちZ組だけでしょ? 逆に言えばさ、他の二五クラスは学園側ってわけで。反逆しようとしてるのはぼくらで、正統派なのは学園だって、どうしたって見えちゃうなって話」 「まあ実際に反逆しようとしてるんだから間違っちゃいないが……。つまり、俺たち以外の学生は学園が正しいと思ってるってことか?」 「んー。半分正解で半分はずれ、かな」 「半分?」
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