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それから、満里奈は心に立ちこめていた霧が一気に晴れたように、どんどん明るくなっていった。
バスケ部のみんなの周りには、いつも笑顔が溢れていた。
満里奈は、仲良くなる前はずっと、遠目で眺めながら、
"あの子達は、どれだけ面白いことを話してるんだろう…"
そう思っていた。
だって、あんなにいつもいつも笑っているんだから、
きっと、ものすごく面白い話をみんな持っているはず…
そうとしか思えなかった。
でも、仲良くなって、初めて気付いた。
みんなは大笑いしてるけど、
別に、たいして面白い話をしているわけじゃない。
それでも、誰かが普通に話しているだけで、
周りには笑顔が溢れていた。
"そっか…こんな他愛もない話でも、笑い合えるんだ…"
そんな当たり前の事が、
満里奈にとっては、かなりの衝撃だった。
今まで、こんなに自然に友達と笑い合えた事はない。
いつもいつも、相手の顔色をうかがって、笑っていいのかすら、考えていた満里奈だから…。
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