112人が本棚に入れています
本棚に追加
―入学式。
満里奈は、ワクワクしていた。
"高校に行く"事に関しては、全く興味はなかったが、
"女子高生になる"ことは、実際、少なからず嬉しかった。
なぜかって、わざわざ中学生の頃みたいに、学校が終わってから制服を変える必要もないし、化粧も、髪を染める事も、誰にも咎められることも無くなる…と思っていたから。
ちなみに、言っていなかったが、満里奈の中学校は、校則がめちゃくちゃ厳しかった。
制服に至っては、
上から下まで…靴下も靴もカバンもコートも全て指定。
髪型も、肩につく場合は、必ず縛らなければならない。
当時流行っていたルーズソックスも、靴下がちょっとでもたるんでいようものなら、
その場で脱がされた。
更に、化粧なんてしていった日には、見つかった時点で、水道で全部落とされる始末。
もちろん、髪も染められないのだが、満里奈や沙織は、"日焼けした"と嘘をついて、少しだけ茶色くしたり、黒染めでごまかしたりしていた。
だから、毎回学校帰りに街に出る時は、いちいち靴や靴下を変えなければいけなかったのだ。
そんな煩わしさから解放されると思うだけで、
満里奈はワクワクしていた。
最初のコメントを投稿しよう!