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どの位経っただろうか…
満里奈は、ピッチを眺めながらソファにもたれかかったままだ。
(※ピッチ=PHS。当時の主流は携帯電話ではなくPHSで、みんなピッチと呼んでいた。)
その時、満里奈のピッチがメロディーを奏でながら光った。
とっさに通話ボタンを押す。
「もしもし…」
相手は奈緒子だった。
『もしもし、満里奈?もしかして待ってたの~?』
電話の向こうで奈緒子は笑いを堪えているようだ。
あまりにも満里奈が電話に出るのが早かったので、ずっと待っていたと思ったらしい。
「べ、別に待ってないし!たまたまピッチ持ってただけだし…」
『はいはい♪アハハ…』
奈緒子はまだ笑っている。
「ちょっと…もういいでしょ?」
ちょっと不機嫌になった満里奈の声に、奈緒子は笑いを堪えながら続けた。
『うん、ごめんごめん。…で、結果だけど…。』
「…」
満里奈は何も言わずに奈緒子の言葉を待った。
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