└0 たった一つの致命傷

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 リーダー格の顔が、徐々に子どもの色を帯びてきます。何というか、初めて目にした玩具を確かめるような、あれ。  リーダー格がもう一度、私の身体に得物を突き立てました。傷が増えます。全身があらわになったことで、より顕著になったそれは、リーダー格に確信を抱かせるのに十分なもののようでした。  そこからは、予定調和の如く単純な展開がまっていました。事の顛末(てんまつ)ならぬ、転末です。まさしく転がるように。私の人生は、坂道を転がり落ちていきます。  《“受けた傷が分散する身体”》――《“致命傷を受けない身体”》を持つ少女として、私は見世物小屋に売られました。もちろん非合法な方のです。  とても言葉にはできないような、様々な事をこの身体に受けました。拷問よりも単純で、拷問以上に致死生のあるスナッフショー。なんせ死なないのですから。これ以上使い回しの利く商品はありません。
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