└0 たった一つの致命傷

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 次から次へと売られ買われ、多数の見世物小屋を転々とされました。  直りかけの傷の上に生傷を刻む日々に終わりが訪れたのは、十歳くらいの時です(途中から歳を数えていなかったので曖昧です)。  少しやんちゃな今の保護者に荒々しく救出され、そのまま私は彼女に連れられるままに各地を転々、旅の先、とある“区域”にある街に落ち着いた暮らしを得て、今に至ります。  波乱万丈のようでいて、何だか中身の薄い我が半生。  残されたのは、人受けのよろしくない昔話と、『エルトゥールル・ハウル』という名、全身に刻まれた傷痕だけなのでしたとさ。  おしまい。
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