22人が本棚に入れています
本棚に追加
「む……」
いつの間にか、手元のティーカップが空になっていたので、私はテーブルの真ん中にあるケトルに手を伸ばします。今飲んでいたのとはまた違う、手の付けていなかった方の紅茶です。
とくとく。
この擬音を最初に使用した人を、私はおそらく尊敬できます。
紅茶が程よくカップに注がれたところで、ケトルを元の場所に戻し、二度目のいただきます。まずは味を確かめる為にカップをゆっくりと傾けます。
「ん……美味しい」
満点でした。
丁度いい酸味と、後を引かない甘さ。砂糖を入れないでも嗜める、秀逸な一品です。
「アル、この紅茶はどこの茶葉を使用しているのです?」
ティータイムは乙女にとっての生命源。高級なものでなければ自宅でも嗜めるかもと思い、アルに問い掛けます。因みに、アルはここの責任者的な役割を任されており、紅茶には人一倍うるさいのでした。まあ、うるさいとは言っても、口数はやっぱり少ないのですけれども。
最初のコメントを投稿しよう!