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私と母を取り囲んだ野盗達は、四分五裂、仕入先が危ぶまれるぐらいに統一感のない様々な得物を携えていました。
得物と獲物。
音が同じにも関わらず、そこに込められた意味は悲しい程に真逆。
母は私の手を強く握りしめながら言いました。大丈夫、と。私は何も答えられませんでした。まだ幼かった私は、その時自身が置かれている状況こそよく分かっていませんでしたが、子供は空気を読む生き物、まるで万力で胸を締め付けられるような心地だったことを覚えています。
にたにたと下卑た笑いを洩らす野盗達に向かって、母が一歩、足を踏み出し言いました。私はどうなっても構いません、だからどうかこの子だけは助けて下さい。母は、毅然(きぜん)とした人物でした。その態度に、小なり存在するプライドを刺激されたのか、野盗達のリーダー格らしき男が、手にしていた得物を振りかざしました。
ここからの記憶はあまりにも鮮明であり、故に淡々とした物言いにならざるを得ません。
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