└0 たった一つの致命傷

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 まずは全身に走る鋭い痛みでした。身体の至るところに熱湯をかけられたような感覚です。  見ると、服飾の隙間から覗く肌に、様々な切り傷が刻まれていました。指の先から手の甲、手のひらから腕にかけて。靴から伸びる足は、スカートに隠れる膝頭まで。それはもう、無数に。分け隔てなく。見えないところまでが、痛みという現実を伴い事実を突き付けてくるのです。  訳が分かりませんでした。何が起こっているのか、それを理解しようとする気持ちさえ湧きません。視界がどんどん遠退いていくのが分かりました。けれど意識は消えませんでした。痛みがそれを許さないのです。
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