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「・・・流石に意味わかんないんだけどお」
一人残された俺はよっこいしょ、と呟いて立ち上がったはいいものの全身ビショビショ。
「なーんか、どうでもいいやあ」
自分のずぶ濡れの格好を見て、めんどくさくなった俺はなんとなくそのままもう一度海に仰向けに浮かんでみた。
「薫くん!!!」
すると、まるでおれの居場所を察知しているかのようにナイスタイミングでたろちゃんがやって来た。
「か、薫くん!?大丈夫!?無事!?」
たろちゃんは海に浮かんでいる俺を見つけると、焦ったように自分が濡れてしまうのも気にせず近寄ってきた。
「たろちゃん・・・」
「どうしたの?どっか痛い?病院行く?藪内先輩呼ぼうか?」
「ふはっ、平気だよお。迎えに来てくれてありがとう」
あまりにも必死なたろちゃんについ吹き出してしまい、おれはたろちゃんにお礼を言った。
すると、たろちゃんは安心したような顔をして「薫くんの馬鹿!!」と怒鳴り俺を海から引っ張り出した。
「とにかく、出岡くんや藪内先輩たちも薫くんのこと探してるから後でたっぷりお説教だよ!!」
「えー・・・」
おれはそのままたろちゃんに手を引かれるがままホテルに戻った。
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