2096人が本棚に入れています
本棚に追加
/113ページ
「なあ!」
俺に無視されて落ち込んでいるたろちゃんをさらに無視していると、いきなり声をかけられた。
振り向くと、そこにはモサモサのいかにもカツラな髪にどこで買ったのかわからないビン底の眼鏡をかけた男の子がいた。
うーん・・・伸長は俺よりおっきいなあ、
「おまえ、名前何て言うんだ!?」
「え、っとお・・・君、だれえ?」
なによりも声がうるさい。俺は眉をしかめながら目の前のモジャ男にそう聞いた。
「俺か!?俺は平松朝陽だ!!お前は!?」
「おれは、「ちちちち、ちょーっといいかな?」
俺が名前を言おうとした瞬間、なぜかたろちゃんが俺とモジャ男の間に割り込んできて、俺の腕を取って教室を出ようとした。
「待てよ!!」
が、反対の手をモジャ男に掴まれて、おれもたろちゃんもバランスを崩してその場に倒れた。
「お前、なんで邪魔するんだよ!?俺がこいつとしゃべってるだろ!!あ、わかった!!お前も俺と話したいんだろ!?だったら素直に言えよ!!」
「違うよこの子が先生に呼ばれてるから呼びに来たんだよ」
たろちゃんはわあわあと喚いているモジャ男くんに、言葉を区切らずにそう言って、俺の手を引き、ものすごい早さで教室を出た。
最初のコメントを投稿しよう!