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振り向いたらトシがお父さんを慰める事を諦めた所で、トシに詰め寄った。
「記憶少し戻りました!!私は方向音痴です!!」
「もっとマシな記憶思い出せ!!」
頭叩かれた。痛い。噛む!!
「お前は動物か!!総司!さっさと連れてけ!!」
「チッ…、樹雨ちゃーん。こっちおいで」
「はーい」
総司さんは素敵な笑顔で刀を納めました。赤い液体とその後ろの何かは気のせい。私は呼ばれたので素直に向かう。トシの手にくっきり歯形を残して。
「何で総司には素直なんだよ!?」
「トシと違って総司さんは優しいもん♪」
「優しいですもん♪樹雨ちゃんは女の子なんですから、土方さんも優しさを覚えないと」
「さっさと……出ていけーっ!!」
鬼の雷が落ちたので、そそくさと部屋を出る。急いで移動したので、腕を掴んでいた総司さん以外誰もいなかった。
「ここ、どこでしょう?」
「ここが樹雨ちゃんの部屋ですよ」
わお、いつのまにやら自分の部屋に来ていたようで、総司さんが部屋の扉を開けると、六畳程の和室。タンス、机、押し入れだけの簡素な部屋だった。要するに地味。
そんな事を考えていると、総司さんが扉を閉めていた。?これからわん…藤堂さん達も来るのでは?
「ったく、俺も面倒なガキ拾ってきたな。記憶喪失って…本当かよ?」
わーお、私が記憶喪失ならこの人二重人格っ!!
いやん、私こんな性格の悪い人に助けられたの?
きゃー、この展開下手すれば死んじゃいそう。
のわっ、後ろ押し入れだっ。
大変だ、逃げ場がない。
「聞いてんのか、樹雨ちゃん?つか、お前には聞きたい事が山程あんだ。俺隣の部屋だから、怪しい真似したら即死刑な」
「一触即発、絶体絶命、私の人生これにておしまい?」
「ちなみに、この部屋ただの空き部屋でお前の部屋は違う場所だ。タンスの裏、俺の部屋と繋がってっから」
見ず知らずのお父さんお母さん。
樹雨は人生が終わりそうです。
「つまり、俺がいらねえと判断したら即死刑確定だから精々まともに働けよ?俺の小姓として…いわゆる奴隷だけどな」
人生終わったようです。今すぐ斉藤さんに猫扱いされたい。藤堂さんを愛でたい。
黙ったままでいると、壁についていない右手で、総司さんが私の顎をつかんで無理やり顔を上げさせた。
「おい…何か喋れよ。面白くねえな…、樹雨?」
「……し、………そぅ…さん……す」
「あ?何だよ聞こえねえ」
「打倒!!沖田総司!!」
「はっ?っうわっ!?ちょっ…!!」
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