5人が本棚に入れています
本棚に追加
しかし、そこは少女の想像とはあまりにかけ離れた所だった。真っ暗で扉だけがいくつもある場所。
少女は、地下にある通路を歩き、ここが異常な場所だと直感的に悟った。
引き返そうとしたが、
(もしここに弟がいたら……?)
そう思ってしまった。
見たことも会ったことも無く、存在自体知らなかったのだから、他人のようなものなのだが、それだけでは済ませられなかった。
少女は扉を片っ端から開け、いるかもしれない弟を探し始めた。
部屋の中にあったのは、さまざまな大きさの黒い塊ーーおそらく爆弾等の戦闘兵器、そしてあの女性のように手足を拘束された人間。
もし、手足を拘束された幼い少年と出会ったら………
その時、左目がズキズキ痛んだ。
『う…』
構わず進むとどんどん痛みが増してくる。ーつの扉の前に立った時、左目の痛みは頭痛へと達してしまった。
それでも扉を開けようとしたその時ーー
『侵入者を発見しました。………子供のようです。』
『あれは、まさか皇女殿下!?』
『どうしますか?』
警備員だろうか?ダークスーツを身に纏った二人の男性が走って来た。肩に付けた無線に向かって、話している。
最初のコメントを投稿しよう!